
コンシーラーで隠れない目元の陰り、その正体を知ることから始めましょう
「疲れてる?」と聞かれるたび、鏡の前でため息……そんな朝はありませんか。アイクリームを何ヶ月も使ったのに手応えが薄いなら、クマの種類とケアの方向がすれ違っているのかもしれません。目の下のクマは、血行の滞りが関わる青クマ、色素沈着による茶クマ、たるみや凹凸の影による黒クマと、成り立ちがまるで違います。遠回りを減らす手がかりは、鏡を使った見分けから。 この記事では形成外科・美容外科の視点で、セルフチェックの手順と背景にある要因、セルフケアで届く範囲の目安を整理します。
この記事の要点まとめ
- 目の下のクマは青クマ・茶クマ・黒クマに分かれ、鏡を使ったセルフチェックで傾向がつかめます
- 血行や色素沈着、生活習慣など背景が異なり、セルフケアで届く範囲にも差があります
- 変化が乏しいと感じる場合は、医療機関でのカウンセリングも選択肢のひとつです
- 鏡で1分!青クマと茶クマを見分けるセルフチェック手順
- なぜできる?青クマと茶クマが発生する医学的原因
- アイクリームやセルフケアで対応できる範囲と限界ライン
- セルフケアで変化が見られない場合に検討したい専門的なアプローチ
鏡で1分!青クマと茶クマを見分けるセルフチェック手順
クマ対策の出発点は、種類の見極めです。特別な道具はいりません。明るい自然光が入る窓辺と手鏡があれば十分。メイクを落とした状態のほうが、色味の判定はしやすくなります。
目尻の皮膚を軽く引っ張ったときの色の変化で判定する
人差し指の腹を目尻の外側に添え、こめかみの方向へごく軽く横に引いてみてください。爪を立てたり、強く引っ張ったりする必要はありません。皮膚がわずかに動く程度で十分です。
このとき、濃く見えていた部分が薄れて肌色に近づくなら、皮膚の下を走る血管の色が透けている状態——いわゆる青クマの傾向が考えられます。皮膚が伸びることで血管との距離や透け方が変わり、色味が拡散するためと説明されています。
反対に、引っ張っても色が薄くならず、茶色い部分が皮膚と一緒にそのまま動く場合。これは皮膚そのものに色がついている、つまりメラニンによる色素沈着が関わる茶クマの傾向がうかがえます。「色が動くか、薄れるか」が、青と茶を分ける最初の分岐点です。
顔の角度を変えたときの陰りの変化と黒クマ(影クマ)との違い
続いて、鏡を持ったまま顔をゆっくり上に向けてみましょう。天井を見上げる角度にしたとき、目の下の暗さが薄れる、あるいはあまり気にならなくなるなら、正体は色ではなく「陰影」かもしれません。
これが黒クマ(影クマ)と呼ばれる状態です。眼窩脂肪が前方へ突出したり、その下側のくぼみ(ゴルゴラインにつながる溝)が段差を作ったりすることで、光の当たり方次第で暗く見えます。加齢だけが理由ではなく、生まれつきの骨格や眼窩脂肪の量によって20〜30代で現れることもあります。
押さえておきたいのは、単独ではなく複合しているケースが多いという点。青クマに影が重なる、茶クマの下に段差がある——そんな状態は珍しくありません。上を向いて半分ほど薄くなるようなら、色の要素と影の要素が混在していると考えてよいでしょう。
見分けを誤ると逆効果?種類に合わないケアによるリスク
クマの種類とケアがずれていると、時間もお金もかけた割に手応えが得られにくくなります。それどころか、目元に別の負担をかけてしまうこともあります。
たとえば茶クマの方が血行を促す目的で目元を強くもみほぐすと、摩擦の刺激がメラノサイトに働きかけ、色素沈着の要因を増やす懸念があります。逆に青クマの方が美白目的の外用ケアだけを続けても、血管が透けるという構造的な条件には届きにくく、変化を感じにくいまま時間が過ぎがちです。
影が主因の黒クマにコンシーラーを厚く重ねると、かえって凹凸が際立って見えることも。「何を塗るか」より先に「何が関わっているか」を絞り込む——これが目元ケアの順序です。
なぜできる?青クマと茶クマが発生する医学的原因

見分けがついたら、次はその背景にある仕組みです。要因を知っておくと、日々の習慣のどこを見直すかがぐっと具体的になります。
青クマの原因:皮膚の薄さと毛細血管の血行不良・画面注視による眼精疲労
目の下の皮膚は、顔の中でもとりわけ薄い部位。部位によっては厚みが0.5mm前後とされ、頬や額と比べても構造的に透けやすい条件がそろっています。皮下組織も少ないため、その下を走る毛細血管や静脈の色が表面に響きやすいわけです。
血流が滞ると、静脈内の血液は酸素の少ない暗い赤色へ傾きます。それが薄い皮膚越しには青紫や灰色っぽく見える——これが青クマの背景と考えられています。
近年目立つのが、画面注視による要因。オンライン会議や資料作成でモニターを見続けると、まばたきが減り、目の周囲の眼輪筋が緊張したままになります。筋肉のポンプ作用が落ちれば、局所の循環も鈍りがちに。ブルーライトそのものと色素の関係には研究段階の部分もありますが、長時間の集中作業が眼精疲労や目元の血行に関わることは、多くの方が日常的に感じているのではないでしょうか。
茶クマの原因:擦れ刺激・乾燥によるメラニンの蓄積と色素沈着
茶クマの中心にあるのはメラニンです。皮膚は刺激を受けると防御反応としてメラノサイトが色素を作り出しますが、目元の場合、その刺激の多くは日常のささいな動作に潜んでいます。
- クレンジングや洗顔時の摩擦:アイメイクを落とそうとこする動作の繰り返し
- かゆみによる掻破:花粉症やアレルギー性結膜炎で目をこする習慣
- 乾燥によるバリア機能の低下:バリアが弱ると外的刺激に反応しやすくなる
- 紫外線:目元は日焼け止めの塗り漏れが起きやすい部位
コンタクトレンズの着脱でまぶたを強く引っ張る癖も、見落とされがちなポイント。こうした軽微な刺激が積み重なると、表皮のメラニンが排出しきれず滞留すると考えられています。長期化すれば、真皮層まで色素が落ち込んだ状態になることも。表皮レベルか真皮レベルかによって、検討できる選択肢は大きく変わります。
体調や生活習慣(冷え・貧血・睡眠不足)が目元に与える影響
目元は、全身のコンディションを映しやすい場所でもあります。睡眠不足が続けば自律神経のバランスが乱れ、末梢の血管は収縮しやすくなる。「寝不足の翌日にクマが目立つ」という体感には、そんな背景があります。
冷えを感じやすい方も同様で、手足の末端まで血液が行き渡りにくい状態は、顔の細い血管にも及びます。鉄が不足した状態では赤血球のヘモグロビンが足りず、血液の色調そのものが変わるため、目元がくすんで見えることも。健康診断で貧血を指摘された経験があるなら、目元のケアと並行して全身の状態も確認しておきたいところです。
喫煙や過度の飲酒、極端な減量による栄養の偏りも、循環と皮膚の代謝に関わります。鉄分やビタミンB群、たんぱく質を意識した食事、湯船に浸かる習慣、就寝前の画面時間を減らす工夫。地味ではありますが、こうしたインナーケアは青クマの土台に関わる要素として無視できません。
アイクリームやセルフケアで対応できる範囲と限界ライン
化粧品には化粧品の役割があり、届く層と届かない層があります。そこを理解しておくと、ケア選びの見通しが変わってきます。
有効成分で選ぶアイクリームの役割(トラネキサム酸・レチノール等)
ドラッグストアの棚には無数のアイクリームが並びますが、見るべきは価格ではなく配合成分。そして、それが何に働きかけるものかという点です。
- トラネキサム酸・ビタミンC誘導体・アルブチン:メラニンの生成過程に関わる成分として、医薬部外品などで用いられます。茶クマ傾向の方が保湿と併せて取り入れる選択肢
- レチノール(ビタミンA誘導体):表皮のターンオーバーに関わる成分。ただし目元は反応が出やすいため、低濃度・少量から様子を見る使い方が無理のない進め方です
- セラミド・ヒアルロン酸などの保湿成分:バリア機能を支え、乾燥由来の刺激を減らす土台づくり
- ビタミンK・ナイアシンアミド:目元用製品に採用されることがある成分
どれも表皮を中心とした浅い層への働きかけが前提です。血管の位置や皮膚の厚み、脂肪の突出といった構造そのものを変えるものではない——そう理解したうえで期待の幅を設定しておきましょう。医薬部外品と化粧品では表示できる範囲も異なりますので、パッケージの表記を確認してみてください。
【誤解に注意】青クマ対策のマッサージがシワ・たるみを招く理由
「血行不良ならマッサージすればいい」。一見もっともらしい発想ですが、ここは慎重に考えたいところです。
先に触れた通り、目の下の皮膚はきわめて薄く、支える皮下組織も乏しい構造。そこへ指で圧をかけ、引っ張る動作を毎日繰り返すとどうなるか。摩擦による色素沈着を新たに招き、青クマに茶クマが重なる可能性があります。皮膚や靭帯への機械的な負荷が積み重なれば、細かなシワや皮膚のゆるみにつながるという指摘も。
血流を促したいなら、こする方向ではなく「温める」方向が現実的です。就寝前にホットタオルや市販のホットアイマスクで目元を数分温め、そのあとは触らない。眼球を直接圧迫しないよう気をつけながら、1時間に一度は遠くを見る休憩を挟む。こうした方法のほうが、目元への負担はずっと軽く済みます。
セルフケアでは届かない皮膚深部や血管・脂肪の構造的問題
では、どこからがセルフケアの限界なのでしょうか。目安として、次のような状態は化粧品の守備範囲を超えていると考えられます。
ひとつは、真皮層まで色素が及んでいるケース。長年の摩擦や炎症後の色素沈着が深部に定着していると、表面に塗るケアだけでは届きにくくなります。もうひとつは、眼窩脂肪の突出や涙袋下のくぼみによる段差が主因のケース。これは色ではなく立体構造の問題なので、何を塗っても影は影として残ります。
加えて、生まれつき皮膚が薄く血管の走行が浅い方も、保湿だけでは透けを抑えにくい傾向があります。3〜6ヶ月ほど丁寧にケアを続けても手応えが乏しいなら、そもそも関わっている層が違う可能性を考えてみるタイミングかもしれません。ケアをやめる必要はありませんが、追加の投資を重ねる前に一度、状態を客観的に確認しておく価値はあるでしょう。
セルフケアで変化が見られない場合に検討したい専門的なアプローチ
ここからは、医療機関で相談できる選択肢の概要を整理します。どの方法が向くかは目元の状態次第で、実際の判断には診察が欠かせません。
茶クマへのアプローチ:医療用外用薬やレーザー治療によるメラニン分解
色素沈着が主体と判断された場合、医療機関では医師の管理下で使う外用薬が選択肢に挙がります。ハイドロキノンやトレチノインといった薬剤は、市販の化粧品とは濃度も位置づけも異なるもの。赤みや皮むけといった反応が生じることがあるため、使用量・期間・中止のタイミングを含めた指示のもとで進めます。
このほか、トラネキサム酸やビタミンCの内服を併用する方法、ピコレーザーによるトーニングなど機器を用いた方法が検討されることもあります。当院でも、しみ・くすみ・肝斑などに対してピコレーザーやピーリングといった選択肢を扱っており、目元の状態や色素の深さに応じてご提案しています。
どの方法をとるにせよ、日々の紫外線対策とこすらない習慣が前提です。土台が整っていなければ、せっかくのアプローチも積み上がりにくくなります。
青クマへのアプローチ:血流補正を目指す再生医療や脂肪注入
皮膚の薄さや血管の透けが背景にある場合、考え方は「色を抜く」ではなく「厚みと質を補う」方向へ向かいます。
具体的には、ご自身の脂肪を精製して目元へ移植する脂肪注入、成長因子や薬剤を用いた注入治療など。皮膚と血管の間にクッションとなる層をつくり、透け方の見え方に変化を持たせるという発想です。
影の要素が混在している場合には、下まぶたの裏側から眼窩脂肪にアプローチする経結膜脱脂、脂肪を移動させて段差をならすハムラ法(表ハムラ・裏ハムラ)といった手術も選択肢に入ります。当院では「くまとり(表裏ハムラ・経結膜脱脂)」を目元の治療メニューとして扱っており、脂肪の量や皮膚のゆるみに応じて術式を検討します。 ダウンタイムや腫れ、内出血などのリスク・副作用は術式ごとに異なりますので、事前の説明を十分にご確認ください。なお、これらは自由診療となります。
自分に合った改善策を見極めるためのカウンセリング活用法
セルフチェックは方向性をつかむうえで役立ちますが、実際には青・茶・黒が混在しているケースが多いもの。どの要素がどれくらいの比率で関わっているかは、皮膚をつまむ、光の角度を変える、触診するといった診察を通じて把握していきます。
カウンセリングでは、これまで試したスキンケアの内容と期間、目をこする癖の有無、花粉症やコンタクトレンズの使用状況、睡眠や貧血の指摘歴などをお聞かせいただけると、判断材料が増えます。気になり始めた頃の写真を撮っておくのも一案です。
KIMI CLINICの志藤院長は、形成外科医として15年以上の経験を積み、日本形成外科学会形成外科専門医および日本頭蓋顎顔面外科学会専門医の資格を有しています。当院では「上質で誠実な医療を提供したい」という方針のもと、手術ありきではなく、生活習慣の見直しやスキンケアで様子を見る選択も含めてご説明しています。「何をすべきか」だけでなく「今は何をしなくてよいか」を知ることも、カウンセリングの大切な役割です。 目元の陰りが気になり始めたら、まずは状態を客観的に確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q1. 青いクマができる理由は何ですか?
A. 目の下の皮膚がとても薄いため、その下を走る毛細血管や静脈の色が透けて見えることが主な理由と考えられています。血流が滞ると静脈血は暗い色調に傾き、薄い皮膚越しには青みや灰色として認識されます。睡眠不足、長時間の画面注視、冷え、疲労などが重なると目立ちやすくなる傾向があります。
Q2. 目の下にクマができやすい人の特徴はありますか?
A. 生まれつき皮膚が薄い方、色白で血管が透けやすい方、眼窩脂肪の量が多く段差ができやすい骨格の方などは、目立ちやすい条件を持っていると考えられます。目をこする癖のある方、花粉症などでかゆみが出やすい方、デスクワークで長時間画面を見る方も影響を受けやすい傾向があります。
Q3. 青クマが濃く見える原因は何ですか?
A. 睡眠不足や疲労の蓄積、末梢の冷え、鉄欠乏による貧血傾向、眼精疲労の慢性化などが重なると、より濃く見えることがあります。また、加齢に伴って皮膚が薄くなり透け方が変化したり、たるみによる影が加わって複合的に暗く見えたりする場合もあります。
Q4. 青クマと茶クマはセルフケアで変化しますか?
A. 関わっている層によって異なります。乾燥や摩擦、生活習慣が関与している浅い段階であれば、保湿の徹底とこすらない習慣、睡眠や食事の見直しで見え方が変わることもあります。一方、真皮まで色素が及んでいる場合や構造的な段差が主因の場合は、化粧品だけでは届きにくい範囲です。数ヶ月続けて手応えが乏しいときは、医療機関で状態を確認いただくことをおすすめします。
Q5. コンシーラーで上手に隠す方法はありますか?
A. 茶クマにはイエロー系、青クマにはオレンジ系のコントロールカラーを薄く仕込んでから肌色のコンシーラーを重ねる方法が知られています。ポイントは厚塗りを避けること。塗り重ねすぎると凹凸が強調され、乾燥によるヨレの一因にもなります。落とす際は専用リムーバーを使い、こすらないよう気をつけましょう。
2009年 慶應義塾大学 医学部形成外科学教室 入局
慶應義塾大学病院形成外科
東京都立小児総合医療センター形成外科
大阪市立総合医療センター形成外科 等勤務
Bloomfield hospital plastic surgery department
Oxford university craniofacial unit
Birmingham children‘s hospital craniofacial unit 留学
2022年 共立美容外科 京都院院長
2024年 KIMI CLINIC 形成・美容外科 開院
頭蓋顎顔面外科学会認定専門医
日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
マイクロサージャリー学会会員
オンコプラスティックサージャリー学会会員
日本口蓋裂学会会員
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