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鼻整形は高くしない方が自然?顔バランス重視の新常識
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鼻整形は高くしない方が自然?顔バランス重視の新常識

「高い鼻」が美しいとは限らない〜鼻整形の新常識

鼻整形を考えるとき、多くの方が「高くしたい」と希望されます。

しかし、本当にそれが正解でしょうか?

美容外科医として15年以上の経験を持つ私が、日々の診療で感じているのは「高さ」よりも「バランス」の重要性です。鼻は顔の中心に位置するパーツであり、ほんの少しの変化でも顔全体の印象を大きく左右します。欧米人のような高い鼻筋に憧れる気持ちは理解できますが、日本人の骨格や顔立ちには、日本人に合った自然な高さと形があるのです。

2025年現在、鼻整形のトレンドは「忘れ鼻」と呼ばれる、存在感を抑えた自然な鼻へと移行しています。強い印象を与えるのではなく、顔全体のバランスを整える役割を果たす鼻が求められているのです。

なぜ「高すぎる鼻」は不自然に見えるのか

鼻を高くしすぎると、なぜ不自然に見えてしまうのでしょうか?

その理由は、顔全体とのバランスが崩れてしまうからです。日本人の顔立ちは欧米人と比べて彫りが浅い傾向にあり、目・口・輪郭などの他のパーツとの調和が重要になります。鼻だけが極端に高いと、顔の他のパーツとのバランスが崩れ、違和感のある印象になってしまいます。

特に問題となるのが「鼻根部(ナジオン)」の高さです。眉間のすぐ下から急に鼻が高くなると、人工的に見えやすくなります。自然な鼻は、眉間から鼻先にかけてゆるやかなカーブを描いているものです。このカーブが急すぎたり、直線的すぎたりすると、整形感が出てしまいます。

顔のバランスを考慮した鼻整形のビフォーアフター比較

また、鼻筋が高すぎると、光の当たり方によって白っぽく見えることがあります。これはプロテーゼが皮膚を圧迫して皮膚が薄くなり、プロテーゼが透けて見えるためです。特に皮膚の薄い方に大きすぎるプロテーゼを入れると、このような問題が起こりやすくなります。

日本人に合った鼻の高さとは

では、日本人に合った鼻の高さとはどのくらいなのでしょうか?

美的基準では、ナジオン(眉間の谷)の位置が瞳の中心から下縁あたりにあり、角度が110度〜120度前後であることが理想とされています。この角度が急すぎると不自然に見え、緩やかすぎると立体感が失われてしまいます。重要なのは、額からあごにかけての横顔のライン全体が調和していることです。

鼻の高さは、顔の縦のバランスにも影響します。顔の三庭(額・鼻・あご)のバランスに合った長さと高さが理想的です。鼻だけを見て高さを決めるのではなく、顔全体を見て判断することが大切なのです。

顔バランスを重視した鼻整形のアプローチ

顔バランスを重視した鼻整形では、鼻単体の美しさではなく、顔全体との調和を最優先に考えます。

まず重要なのが、カウンセリング時の綿密な分析です。様々な角度からの写真撮影や、場合によってはCT検査なども行い、立体的に顔を分析します。骨格、皮膚の厚さ、軟骨の状態など、一人ひとり異なる条件を正確に把握することが、自然な仕上がりへの第一歩となります。

次に、鼻の10個のパーツそれぞれが美的基準を満たしているかを確認します。鼻根、鼻背、鼻尖、鼻柱、小鼻など、各パーツのバランスが整っていることで、自然で美しい鼻が完成します。一つのパーツだけを変えるのではなく、全体のバランスを考慮した総合的なアプローチが必要です。

「忘れ鼻」という新しい美の基準

2025年のトレンドである「忘れ鼻」をご存知でしょうか?

これは、強い存在感を放つわけではなく、顔全体に自然に溶け込む鼻のことを指します。見る人が「鼻の存在を忘れる」ほど自然で調和のとれた鼻だからこそ、この名前がつけられました。派手さはないものの、顔立ち全体を上品に見せる効果があります。

自然な鼻のラインと顔全体のバランス

忘れ鼻の特徴は、鼻筋が自然に通っていること、鼻先に極端な丸みや尖りがないこと、小鼻の張り出しが控えめであること、そして鼻の穴が正面から見えにくいことです。これらの条件を満たすことで、見る人に安心感を与え、清潔感や上品さを感じさせる鼻になります。

自家組織移植が主流になる理由

近年の鼻整形では、プロテーゼ(人工物)だけでなく、自家組織移植を用いた隆鼻術も増えてきています。。

自家組織移植とは、肋軟骨や筋膜など、傷が目立たない部分から自分の軟骨の一部を切り出し、鼻に移植する整形術です。自分の体の一部を使用するため、見た目も触り心地もごく自然なのが特徴です。体に馴染み、衝撃やケガにも強く、その効果は半永久的です。

プロテーゼと比較すると、自家組織移植には多くのメリットがあります。まず、感染や露出などのリスクが極めて低いことが挙げられます。また、レントゲンなどに写らないのもメリットの一つです。

自家組織移植の種類と特徴

自家組織移植には、移植する部位にもよりますが、使用する組織によって様々な種類があります。

鼻すじを高くする場合に用いる自家組織で最も一般的なのは、「肋軟骨」です。「肋軟骨移植」は、肋骨から軟骨を採取して鼻に移植する方法です。鼻すじだけでなく、鼻中隔延長でも良く使用されます。大きくしっかりした組織片が得られるため、大きな変化を望む場合に適しています。ただし、採取時に胸部に傷が残る点や、術後の痛みが他の方法より強い点がデメリットです。

鼻先に移植するうえで最も一般的なのが「耳介軟骨移植」です。耳の後ろにある軟骨を採取して形を整えた上で鼻先に移植する方法で、採取がしやすい上に柔らかく弾力のある組織のため加工もしやすいという点が特徴です。ただしサイズがそこまで大きくないため、鼻中隔延長に使用してしっかりと高さを出したい際には容量不足となることがあります。

次に「側頭筋膜移植」があります。側頭部の筋膜を採取して形を整えた上で鼻すじに移植をして高さを出す方法です。筋膜とは筋肉を包み込んでいる薄い膜のことで、適度な硬さを持ち合わせており、鼻に挿入した際に自然な触感になる点が特徴です。術後に傷跡が目立たない(髪の毛に隠れて見えない)というメリットもありますが、軟骨と比べて柔らかいため、単独で使用される頻度は低く、肋軟骨を包んで移植するなど、複合的に使用する「複合移植」が行われることが多い組織です。

筋膜に包むことで肋軟骨単独での施術よりも仕上がりの肌触りが滑らかになる他、2つの組織を使用するため単独施術よりも高さを出すことが可能です。

鼻整形で失敗しないためのポイント

鼻整形で失敗しないためには、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、経験豊富な医師を選ぶことです。鼻整形は顔の印象を大きく左右する繊細な施術であり、医師の経験と技術力が非常に重要です。形成外科医として15年以上の経験を持ち、特に鼻整形を専門としている医師を選ぶことをおすすめします。骨格や皮膚の特性を的確に見極め、自然で美しい仕上がりを実現できる医師を選びましょう。

次に、カウンセリングで納得いくまで相談することです。理想の鼻の形、希望する変化の程度、リスクや限界について、執刀する医師と直接話し合うことが大切です。カウンセリングから手術まで、同じ医師が一貫して対応してくれるクリニックを選ぶと、より希望に近い仕上がりが期待できます。

術後のアフターケアも重要

鼻整形は手術後も重要です。

ダウンタイム中の適切なケアや定期的な診察によって、腫れや傷の治癒をスムーズに進め、化膿や挿入物のズレといったトラブルを防ぐことができます。術後フォローがしっかりしているクリニックを選ぶことで、安心して治療を受けることができます。

鼻整形のカウンセリング風景

また、症例写真が多く掲載されているクリニックは、経験や実績が豊富な証拠です。自分と似たタイプの症例を見つけることができれば、施術後のイメージをしやすくなります。ビフォーアフター写真の質(光の当て方・角度・経過)が整っているほど、誠実なクリニックと言えるでしょう。

まとめ〜自然な美しさを追求する鼻整形

鼻整形は「高くすればいい」というものではありません。

顔全体とのバランスを考慮し、自然で調和のとれた鼻を目指すことが、長期的な満足度につながります。2025年のトレンドである「忘れ鼻」は、まさにこの考え方を体現したものです。強い存在感ではなく、顔全体を上品に見せる自然な鼻が求められているのです。

自家組織移植という選択肢も、より自然で長期的に安定した結果を求める方にとって魅力的です。自分の体の組織を使うことで、感染リスクが低く、触り心地も自然な仕上がりが期待できます。

鼻整形を検討されている方は、まず信頼できる医師とじっくり相談することから始めましょう。あなたの顔立ちに合った、自然で美しい鼻を一緒に作り上げていくことが大切です。

鼻整形について詳しく知りたい方、カウンセリングをご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。

詳細はこちら:kimiclinic

著者

志藤 宏計(KIMI CLINIC 院長/形成外科・頭蓋顎顔面外科専門医)

2007年新潟大学卒業後、慶應義塾大学形成外科にて専門研修を開始。顔面外傷・小児奇形・乳房再建などの形成外科診療のほか、美容外科では骨切り術、鼻整形、加齢性変化への外科的アプローチを多数経験。
イギリス・オックスフォード大学やバーミンガム小児病院での海外研修も含め、国内外で最新の医療技術を習得。形成外科的な正確さと審美的な感性を融合し、KIMI CLINICで質の高い医療を実現している。

資格・所属学会

日本形成外科学会 認定専門医

日本頭蓋顎顔面外科学会 認定専門医

日本形成外科学会 小児形成外科分野 指導医

日本美容外科学会(JSAPS) 正会員

日本マイクロサージャリー学会 会員

日本オンコプラスティックサージャリー学会 会員

日本口蓋裂学会 会員

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