
目元手術の服薬とサプリの申告から再開までの基本
目元の手術の前に飲んでいる薬やサプリメントは、自分の判断でやめないでください。予定する処置の範囲とあわせて、手術をする医師と薬を出している医師の両方に相談し、続けるか止めるかを決めます。
血をかたまりにくくする薬(抗凝固薬など)を続けたときの出血と、やめたときの血のかたまり(血栓)のどちらを気にすればよいのか、迷うこともあります。ネットで見かける日数を、そのまま自分にあてはめてよいのか悩む方もいます。この記事では、同じ目元の手術でも皮ふを切りとるか、脂肪をあつかうかで内容が変わる理由から、お薬手帳や製品ラベルを使ったまとめ方、医師への相談の順番、手術のあとに薬をまた飲みはじめる時期、血が出たときの連絡先までをお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 薬の継続・休薬は、処置範囲や持病、麻酔方法を踏まえ、手術担当医と処方医が相談します。
- 処方薬や市販薬、目薬、サプリは、お薬手帳や成分表示をもとに申告します。
- 休薬期間や術後の再開時期、出血時の連絡先を確認し、服薬を変える際は医師に相談します。
- 目元手術の服薬相談は、薬の名前より先に予定する処置内容を確かめる
- 申告する薬・サプリの範囲と、手術担当医と処方医への相談の順序
- 手術日を決めてから術後まで、再開と連絡について確かめておくこと
- よくある質問
- 参考文献
- 監修
目元手術の服薬相談は、薬の名前より先に予定する処置内容を確かめる

服薬相談では、手術名だけでなく予定する処置も確認する
目元手術の服薬相談では、単に手術の名称だけを伝えるのではなく、実際にどの組織へどこまで処置を行うかを先に確かめることが出発点になります。「二重整形」や「たるみ取り」といった大まかな名前だけで休薬日数を調べても、ご自身が受ける手術の内容にそのまま当てはまるとは限りません。
たとえば当院の料金表では、目元の切開手術を、小切開・全切開といった切開の幅だけで分けていません。皮膚切除や眼窩隔膜脂肪除去(まぶたの奥にある脂肪を取り除く処置)、ROOF切除など、行う処置によって内容が異なることを示しています。ROOF切除は、眉の下から上まぶたにかけて、眼輪筋というまぶたの筋肉の裏にある脂肪を減らす処置です。糸を留めるだけの埋没法と、皮膚や脂肪まで扱う切開法とでは組織への触れ方が異なります。
なお、それぞれの処置における出血のリスクや休薬の基準は、案内されている処置名だけで一律に決まるものではありません。診察でまぶたの厚みや脂肪の状態を拝見し、予定する処置の具体的な範囲を確かめたうえで、飲んでいる薬の情報を並べて相談する順序が大切です。
上まぶたの手術を相談するときに確認したい処置の範囲
上まぶたの重さや視界の狭さが気になるときは、皮膚のたるみだけでなく、まぶたを持ち上げる筋肉や脂肪への処置が加わるかどうかを診察で確かめます。同じ上まぶたの手術でも、扱う深さや範囲が違えば、術前後の管理で気をつける点も変わってくるためです。
当院では、眼瞼下垂の手術として切開する方法をのせており、まぶたの状態によって皮膚切除や眼窩隔膜脂肪除去、ROOF切除などを行う場合があります。まぶたが下がって見えにくいなど、ふだんの生活に困りごとが出ている眼瞼下垂症は、医師による客観的評価のもと、明らかな適応がある場合には保険診療の対象としてご案内しています。
いっぽうで、見た目を整えることがおもな目的の目元の手術は、保険がきかない自由診療になります。どの目元の手術でも、手術のあとに腫れや内出血、痛み、傷あと、左右の差などが出ることがあるので、前もってくわしい説明を聞いておきましょう。
上まぶたの相談では、「切開の方法」と「皮膚や脂肪など付随する処置の有無」を医師から聞き取り、その内容をメモして服薬の相談へ進むと具体的なやり取りができます。処置の掲載情報だけで抗凝固薬などの継続や休薬が決まるわけではないため、診察での確認を入り口にしてください。
複数の目元施術を予定する場合は、組み合わせも伝える
上まぶたの重さと目の下のクマなど、目元で複数の悩みを同時に解消したい場合は、検討しているすべての施術の組み合わせを漏れなく伝える準備が求められます。ひとつの施術だけなら短時間で済む場合でも、複数を組み合わせれば手術時間や処置が及ぶ範囲が変わるためです。
当院の目元の掲載症例には、下まぶたの裏側から脂肪の位置を整える裏ハムラ法単独の施術だけでなく、裏ハムラ法と目頭切開を組み合わせた施術があります。このように複数の部位へ同時に処置を行う場合、単独の施術を前提とした服薬の考え方がそのまま使えるとは限りません。
組み合わせによって出血などのリスクの程度がどう変わるかや、休薬期間がどのくらいになるかは自己判断で推測せず、予定しているすべての施術名を挙げて医師の判断を仰いでください。
処置内容・持病・麻酔方法で、継続か休薬かが分かれる理由
血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を手術前に続けるか休薬するかは、手術の種類、持病と血栓のリスク、麻酔方法など複数の要素を合わせて個別に判断されます12。そのため、インターネット上で見かける「目元手術は何日前から休薬」といった一律の日数をそのままご自身に当てはめることはできません。
抗血栓薬を続けるか止めるかは、手術の種類や、持病や血栓の起こりやすさによって判断が分かれます12。出血をおさえることと、血栓(血のかたまり)による合併症を防ぐことの両方を考えて、続けるか、止めるか、いつ再開するかを決めるためです1。
薬をやめる場合は、手術を行う医師が処方医に休薬してよいかを確かめます。
ポイント
薬を休むかどうかや、その日数は、薬の名前だけでは決まりません。予定している目元の手術でどこまで手を入れるか、持病のようす、麻酔のしかたをそろえて、医師どうしで話し合いながら一人ひとりに合わせて決めます。
申告する薬・サプリの範囲と、手術担当医と処方医への相談の順序

「サプリは薬ではないから伝えなくてよい」は誤解になりやすい
手術前の申告では、病院で処方される薬だけでなく、市販薬やサプリメント、健康食品もすべて伝える対象になります。「サプリメントは食品だから手術には関係ない」「大げさに思われそうで言い出しにくい」と控えてしまうのは、よくある誤解のひとつです。
たとえば市販の痛み止めには、アスピリンを含むものがあります。アスピリンは、手術前の1週間以内に飲んでいると、手術で出る血の量が増えるおそれがあるとされています3。ほかにも漢方薬、点眼薬、塗り薬、ホルモン剤、ビタミンEや魚油(EPA・DHAなど)、プロテインや複合サプリメント、トラネキサム酸など、ふだん使っているものは名前を伝えてください。
サプリメントや市販薬をいつからやめるかは、予定する処置の内容などによって変わります。自己判断で選別せず、日常的に口にしているものや使っている外用薬はすべて申告してください。
お薬手帳と製品ラベルで、名称・用量・目的・最後に飲んだ日を整理する
初回の相談をスムーズに進めるには、飲んでいる薬やサプリメントの情報を「お薬手帳」と「製品ラベル(または外箱の写真)」で視覚的にわかる形にまとめておく方法が役立ちます。口頭で思い出そうとすると、成分名や用量が曖昧になりやすいためです。
受診前に整理しておきたい服薬リストの項目を以下の表にまとめました。
| 対象の種類 | 記録・持参する主な情報 | 確認に使えるもの |
|---|---|---|
| 処方薬 | 薬の名称、1回の用量、飲む頻度、処方目的、処方元の医療機関名・主治医名 | お薬手帳、薬剤情報提供書 |
| 市販薬・外用薬 | 製品名、使用頻度、使う理由(頭痛・目のかすみ等)、最後に使用した日 | 外箱、添付文書、成分表示の写真 |
| サプリ・健康食品 | 商品名、1日の摂取量、含まれる全成分、飲み始めた時期、最終摂取日 | ボトルや袋の原材料・成分ラベルの写真 |
複合サプリメントは商品名だけでは含まれる成分が判別できないことがあるため、裏面の成分表示をスマートフォンで撮影して持参すると成分を確かめやすくなります。このリストとあわせて、希望する目元手術の処置内容のメモを手元に用意して診察に臨んでください。
手術担当医と処方医、どちらに何を相談するか
持病の薬がある場合は、まず手術をする医師に、予定している目元の手術の内容と飲んでいる薬を伝えます。そのうえで、その見立てを持って、薬を出している医師(かかりつけの主治医)に薬を休めるかを相談する順番が基本です。どちらか一方の医師だけで、薬をやめるか続けるかを決めないでください。
抗血栓薬を休むかどうかは、処置を行う医師と処方医が連携して決め、患者さん自身も事前に主治医へ相談します4。ふたりの医師にはそれぞれ異なる役割があります。
- 手術担当医の役割:まぶたの状態をみて、予定する手術のやり方(どこまで切るか、脂肪をとるかどうか)、麻酔のしかた、手術でどのくらい血が出そうかを見きわめる。
- 処方医(主治医)の役割:心房細動や糖尿病などの持病の状態から、薬を一時的に止めた場合の血栓リスクや体調への影響を評価し、休薬や代替薬への切り替えが可能かを判断する25。
先に処方医へ「目元の手術をしたい」とだけ伝えても、具体的な処置の深さや麻酔方法がわからなければ、休薬してよいかの判断が難しくなります。まずは手術を検討しているクリニックで処置内容を確かめ、診療情報提供書(紹介状)や確認メモを受け取ってから処方医を受診すると、双方の連携がスムーズに進みます。
抗凝固薬を自己判断でやめると、出血とは別のリスクが生じる
心房細動などの持病で処方されている抗凝固薬を、「手術で血が出やすくなると困るから」と受診前にご自身の判断で中断することは控えてください41。薬を急にやめることで、手術の出血とは別の、血栓(血のかたまり)に関わる重大なリスクが生じる可能性があるためです12。
「美容目的の目元手術のために、持病の大切な治療薬を変えてよいのだろうか」とためらいを感じる方もいらっしゃいます。一般的に、持病があることだけを理由に相談そのものができなくなるわけではありません。薬をそのまま続けてできる処置を選ぶのか、出血と血栓の両方のリスクを見ながら休薬の期間を調整するのかを考えるのは医師同士の役割です。一般的には、相談の段階で自分の判断で薬をやめる必要はなく、ふだんどおり飲んだまま受診します。
手術日を決めてから術後まで、再開と連絡について確かめておくこと
休薬の判断が出る時期を見越して、仕事や家族の予定を組む
持病の薬やサプリメントを飲んでいる場合、初回相談のその場で手術日が確定するとは限らないため、処方医への確認期間を見越してスケジュールを組む必要があります。手術直前になって休薬や追加検査の必要性がわかると、お仕事の繁忙期やご家族の通院付き添いなどの予定を後から組み直すことになりかねません。
初回のカウンセリングでは、予定変更を防ぐために次の項目を質問して確かめておきましょう。
- 予定している目元の手術の麻酔のしかた(局所麻酔、点眼麻酔、静脈麻酔をあわせて使うかなど)と、手術中にどう見守るか
- 薬を出している医師への問い合わせ(手紙でのやりとり)や、手術の前に追加の受診や血液検査がいるかどうか
- 薬を休むことになったとき、手術日の何日前までに決まるか
- 薬の確認や、問い合わせの書類づくりに費用がかかるかどうか
なお、自由診療における目元手術の一般的な費用相場は、術式や処置範囲により十数万〜数十万円程度と幅があります。また、主治医への照会状作成や術前検査などに数千〜数万円程度の費用が別途かかる場合があります(記載した金額は一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や処置内容により異なるため、詳細は各医院に確認してください)。
直前に申告漏れや服用に気づいたら、自分で判断せず連絡する
直前に申告漏れや服用に気づいたときは、隠したり自己判断で様子を見たりせず、わかった時点で手術を受けるクリニックへ連絡してください。たとえば「伝え忘れていたサプリメントがあった」「休薬の指示が出ていた薬をうっかり飲んでしまった」といった場合です。
直前に服用した薬や成分によっては、そのまま手術を行うと出血や腫れが強く出る懸念があるため、予定通り実施できるか、あるいは日程を延期・調整するかを医師が判断します。こうした行き違いを防ぐには、決定した休薬開始日と対象となる薬・サプリメントの名前を書面やメモで受け取り、ご自宅のカレンダーや薬箱の近くに貼ってご家族とも共有しておく工夫が役立ちます。
術後に薬やサプリを再開する時期は、傷の状態と持病から決まる
手術前に休薬した薬やサプリメントを術後いつから再開するかは、まぶたの傷の止血状態と、持病による血栓リスクのバランスを見て個別に決められます1。休薬期間と同じく、「術後何日目からなら再開してよい」という一律の基準はありません。
薬を止めるかどうかだけでなく、手術のあとにいつ再開するかまで前もって決めておくことが、出血と血栓の両方を防ぐうえで大切です1。術後の出血が落ち着いているか、抜糸の前か後か、また術後に処方される抗菌薬や鎮痛薬との飲み合わせに支障がないかといった条件を総合的に見極めます。
そのため、再開の具体的な時期と、「手術担当医の診察で傷を見てから再開を決めるのか」「処方医にも連絡を入れるのか」という確認先を、手術を受ける前にあらかじめ聞いておいてください。
出血や腫れが気になったときの連絡先を、手術前に控えておく
血液をサラサラにする薬を服用している方や、術後に薬を再開した方は、帰宅後にじわじわと血がにじむ、片目だけ急に腫れや痛みが強くなるといった変化が起きた際の連絡体制を手術前に確かめておくことが大切です。
具体的には、目元の出血や強い腫れが出たとき、まず手術を受けたクリニックへ連絡するのか、持病の処方医へも連絡するのかという順番を確かめます。あわせて、夜間や休診日に症状が変わったときの連絡手段も控えにまとめておきます。
お薬手帳、サプリメントの製品ラベルの写真、持病の通院先情報、お仕事やご家庭の予定から見た希望時期を整理しておきましょう。準備ができたら、KIMI CLINIC 形成・美容外科の初回相談で、検討されている目元の処置内容と服薬状況をあわせてご相談ください。
よくある質問
Q1. 市販の頭痛薬や目薬、プロテインも手術前に申告が必要ですか?
A. はい、すべて申告してください。市販の解熱鎮痛薬には、手術前1週間以内に飲むと手術で出る血の量が増えるおそれのあるアスピリンを含む製品があります。また、点眼薬や塗り薬、プロテイン、健康食品も、麻酔や術後に処方される薬との兼ね合いを確認する必要があるため、製品名や成分表示がわかる写真を持参して医師へ伝えてください。
Q2. 処方薬を止められないと言われた場合、目元の手術は受けられませんか?
A. 薬を止められないというだけで、目元の手術がすべて受けられなくなるわけではありません。持病のために血をかたまりにくくする薬を続ける必要があるときでも、手術の種類や範囲、麻酔のしかた、手術中の血止めのくふうなどで、対応を考えられることがあります。いっぽうで、血が出やすい処置では、手術の時期をずらしたり、やり方を変えたりすることもあります。そのため、手術をする医師と薬を出している医師が話し合って、一人ひとりに合わせて決めます。
Q3. 手術の何週間くらい前に初回カウンセリングを受ければ、予定が立てやすいですか?
A. 持病の薬がある方やサプリメントをいくつも飲んでいる方は、処方医への確認や薬を休む期間を見こんで、余裕をもって初回の相談を受けておくと日程にゆとりを持てます。はじめの診察で予定する処置の範囲をたしかめたあと、かかりつけの医師に薬を続けるか止めるかを相談します。もし休薬が必要になったら、言われた日数をあけてから手術日をむかえる流れになるためです。お仕事やご家族の予定と重ならないよう、早めにご相談ください。
参考文献
1. Kong KL, Khan J. Ophthalmic patients on antithrombotic drugs: a review and guide to perioperative management. The British journal of ophthalmology. 2015. PMID: 25425711 / DOI: 10.1136/bjophthalmol-2014-306036
2. He X, Chen AF, Nirwan RS et al. Perioperative Management of Anticoagulants in Ocular Surgeries. International ophthalmology clinics. 2020. PMID: 32576719 / DOI: 10.1097/IIO.0000000000000316
3. アスピリン「ヤマゼン」 添付文書(医薬品医療機器総合機構). https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/800084_1143001X1147_3_10
4. 日本消化器内視鏡学会. 血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいるのですが、内視鏡検査は受けられますか?. https://www.jges.net/citizen/faq/general_09
5. Feltgen N, Pielen A, Hattenbach LO et al. [Perioperative conversion of oral anticoagulants to heparin (bridging) in ophthalmic medicine]. Der Ophthalmologe : Zeitschrift der Deutschen Ophthalmologischen Gesellschaft. 2010. PMID: 20024560 / DOI: 10.1007/s00347-009-2088-9
2009年 慶應義塾大学 医学部形成外科学教室 入局
慶應義塾大学病院形成外科
東京都立小児総合医療センター形成外科
大阪市立総合医療センター形成外科 等勤務
Bloomfield hospital plastic surgery department
Oxford university craniofacial unit
Birmingham children‘s hospital craniofacial unit 留学
2022年 共立美容外科 京都院院長
2024年 KIMI CLINIC 形成・美容外科 開院
頭蓋顎顔面外科学会認定専門医
日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
マイクロサージャリー学会会員
オンコプラスティックサージャリー学会会員
日本口蓋裂学会会員



