NEWS

お知らせ・ブログ・症例解説

後悔しない?鼻の糸による隆鼻術の限界と将来の手術への悪影響
  • HOMEブログ後悔しない?鼻の糸による隆鼻術の限界と将来の手術への悪影響

後悔しない?鼻の糸による隆鼻術の限界と将来の手術への悪影響

後悔しない?鼻の糸による隆鼻術の限界と将来の手術への悪影響

「切らない鼻整形」を選ぶ前に知っておきたい現実

糸による隆鼻術は、ダウンタイムの短さや手軽さから関心を集めています。一方で「すぐ元に戻るのでは」「将来の本格的な鼻整形に支障が出ないか」と不安を感じる方も少なくありません。本記事では、形成外科専門医の視点から、糸の鼻整形で得られる高さの目安、後戻りの実情、そして瘢痕化が将来の手術に与える影響を整理してお伝えします。納得のいく選択をするための判断材料としてご活用ください。

この記事の要点まとめ

  • 糸による隆鼻術で得られる高さは1〜2mm程度、持続は半年〜1年半が目安とされている
  • 繰り返し施術による内部組織の瘢痕化が、将来の本格手術の難易度に影響する可能性がある
  • 皮膚が厚い方やだんご鼻の方は変化を感じにくく、外科的治療の検討も選択肢となる

目次

糸による隆鼻術の仕組みと実際に高くできる「限界値」の目安

糸による隆鼻術の仕組みと実際に高くできる「限界値」の目安

糸による隆鼻術は「切らずに鼻を高くできる施術」として広く知られています。ただし、その仕組みや実際に得られる変化量を正しく理解している方は意外と少ないものです。ここでは医学的なメカニズムと、現実的な高さの目安、本数の制限について整理します。

スレッドリフト(糸の鼻整形)で鼻が高くなる医療的メカニズム

鼻のスレッドリフトでは、表面に小さな突起(コグ)の付いた吸収性の糸を、鼻尖から鼻根部にかけて複数本挿入します。糸が組織内で支柱のような役割を果たし、鼻筋を内側から押し上げることで一時的な高さを作り出す仕組みです。素材にはPDO(ポリジオキサノン)やPCL(ポリカプロラクトン)などの吸収糸が使われることが多く、時間とともに体内で分解されていきます1

糸の挿入に伴い、周囲の組織にコラーゲン産生が促されるとされていますが、コラーゲンによる支持力だけで鼻全体を持ち上げ続けることには物理的な限界があると考えられます。あくまで軟部組織を一時的に支える施術であり、骨格や軟骨そのものを変える治療ではない点を押さえておきたいところです。

実際に高くできる限界は何ミリ?数値的目安と後戻りの実情

糸リフトで得られる高さの変化は、一般的に1〜2ミリ程度のわずかな範囲にとどまるとされています。もともと鼻筋にある程度の高さがある方では印象の変化を感じやすい一方、皮膚が厚い方や鼻先が丸い方では、糸の支える力が皮膚の張力に負けてしまい、見た目の変化がほとんど出ないこともあります。

持続期間の目安は糸が吸収される過程に左右され、おおよそ半年〜1年半程度で元の状態に近づいていくと考えられています。施術直後は腫れによって高く見えることがありますが、腫れが引くと変化が目立たなくなるケースも珍しくありません。「持続が短い」「すぐ戻る」という口コミの背景には、こうした構造的な事情があります。

鼻に一度に挿入できる糸の本数と繰り返し施術における目安

一度の施術で挿入できる糸の本数は、鼻の大きさや組織の余裕に応じておおむね4〜10本程度が目安とされます。本数を増やしすぎると皮膚の血流障害や糸の露出といった懸念が高まるため、安全面から無制限に入れることはできません。

また、繰り返し施術を行う場合も、前回挿入した糸が完全に吸収される前に追加すると、組織内で糸が密集し、瘢痕の蓄積や組織の硬化を招く可能性があります。生涯で何回までという明確な基準はありませんが、回数を重ねるほど組織への負荷が増す点は意識しておきたいポイントです。

【形成外科医が解説】鼻の糸を繰り返すことによる将来の本格手術への影響

糸による隆鼻術は「切らない」手軽さの一方で、繰り返すことで鼻の内部組織に変化を残す可能性があります。将来、プロテーゼや鼻中隔延長などの本格的な手術を検討する際に、思わぬ支障となることがある点は、事前に知っておきたい重要な情報です1

繰り返し挿入された糸による内部組織の瘢痕化(硬化)と組織癒着

糸を挿入すると、体は異物として認識し、周囲にコラーゲン線維が形成されます。一度であれば軽微な反応にとどまることが多いものの、繰り返し挿入されると、鼻の内部に瘢痕組織が層状に蓄積し、本来柔軟であるはずの軟部組織が硬く変化していくことがあります。

こうした瘢痕化は、皮下組織と軟骨膜、軟骨同士の癒着を引き起こし、組織の境界が不明瞭になることがあります。形成外科の領域では、瘢痕組織は正常組織と比べて剥離が難しく、出血しやすく、術中の操作性を低下させる要因として知られています1

将来プロテーゼや鼻中隔延長、軟骨移植を行う際の難易度上昇に関する注意点

本格的な鼻整形では、皮膚と軟骨の間を正確に剥離し、プロテーゼを骨膜下に設置したり、自家軟骨を精密に固定したりする操作が求められます。しかし、糸による瘢痕化が進んだ鼻では、正常な剥離層が失われているため、術中の視野確保や正確な層の同定が難しくなることがあります。

この結果、出血量の増加、術後の腫れの長期化、プロテーゼの位置ずれ、移植軟骨の生着への影響といった懸念が高まる可能性があります。当院でも、過去に糸を複数回入れた方の修正手術では、通常より慎重な操作と時間を要するケースが見られます。将来的に本格的な鼻整形を視野に入れている方ほど、糸を繰り返すことには慎重な判断が必要といえるでしょう。

すでに他院で入れた「鼻の糸」を抜去・修正する難易度と追加費用

挿入された糸が瘢痕組織と一体化している場合、糸だけをきれいに取り除くことは容易ではありません。吸収糸であれば時間とともに分解されますが、瘢痕は残ることがあります。非吸収糸の場合は、組織を切開して周囲の癒着を剥離しながら摘出する必要があり、ダメージを最小限にする丁寧な操作が求められます。

抜去のみの費用相場はクリニックや本数によって幅がありますが、数万円〜数十万円程度の追加費用が発生することが一般的です。本格的な鼻整形と同時に行う場合は、手術の一部として処理されることもあります。事前のカウンセリングで既往歴を正直に伝えることが、安全な治療への第一歩です。

鼻の糸リフトが向いている人・向いていない人の判断基準

糸による隆鼻術は、すべての方に同じような変化をもたらすわけではありません。鼻の形状や皮膚の状態によって、得られる印象は大きく異なります。ここでは、自分が糸リフトに向いているかを判断するための基準を整理します。

糸による隆鼻術で一時的であっても変化を感じやすい人の特徴

糸リフトで変化を感じやすいのは、もともと鼻筋にある程度の高さがあり、皮膚が薄めの方です。わずかな高さの変化でも輪郭がはっきりしやすく、印象の違いを感じやすい傾向があります。また、将来的に本格的な鼻整形を検討する前に、シミュレーションとして高さの印象を試したい方にも、選択肢として挙がることがあります。ただし、その場合でも回数や本数には慎重な配慮が欠かせません。

丸い鼻(だんご鼻)や皮膚が厚い人に糸リフトが向きにくい理由

鼻先が丸く、皮膚や皮下脂肪が厚い方では、糸の支持力よりも皮膚の張力や重みが上回り、十分な高さを出しにくいことが多くあります。ダンゴ鼻の根本的な要因は、軟骨の形状や皮膚の厚みにあるため、糸を入れても表面的な変化にとどまりやすいのが現実です。こうしたタイプの方には、軟骨そのものにアプローチする鼻尖形成などの外科的治療の方が、より明確な変化につながりやすいといえます。

当院が糸リフトや注入療法(レディエッセ等)を積極的におすすめしない理由

当院は本格的な鼻整形を専門とするクリニックとして、糸リフトやレディエッセなどの注入療法を積極的にはおすすめしていません。理由は、持続性が限定的であること、繰り返しによる瘢痕への懸念が将来の手術に影響しうること、そして根本的な形状変化には限界があることの3点です。一時的な変化のために将来の選択肢を狭める可能性がある治療は、長期的に見て患者様の利益につながりにくいと考えています。

「本格的な鼻整形」という選択肢

糸による隆鼻術に限界を感じたとき、次に検討されるのが外科的な鼻整形です。ここでは、根本的な変化を求める方に向けた治療の選択肢と、長期的な視点での判断のポイントをお伝えします。

シリコンプロテーゼと鼻尖形成・鼻中隔延長による根本治療の違い

シリコンプロテーゼは、鼻根から鼻背にかけて人工物を挿入することで、安定した鼻筋のラインを作る術式です。長期的な高さの維持が見込め、糸では届かない領域への変化をもたらします。一方、鼻先の丸さや鼻柱の長さに対しては、自家軟骨(耳介軟骨や鼻中隔軟骨、肋軟骨)を用いた鼻尖形成や鼻中隔延長が適応となります1

プロテーゼは鼻筋の高さ、自家軟骨は鼻先の形状とそれぞれ役割が異なり、患者様の希望する仕上がりに応じて組み合わせを検討します。当院では、骨切りや鼻フル複合手術など、形成外科専門医としての知見を活かした術式選択を行っています。

糸リフトに限界を感じて外科手術に切り替えた方が語るリアルな選択肢

「最初は手軽さに惹かれて糸を選んだが、戻りが早く何度も通うことになり、結果的に費用も時間も想像以上にかかってしまった」という声は少なくありません。長期的な視点では、最初から外科的治療を選択した方が、費用面でも組織への負担の面でも合理的だったというケースも見られます。

もちろん、外科手術にはダウンタイムや一定のリスクが伴い、すべての方に推奨されるわけではありません。だからこそ、初回のカウンセリングで自分の鼻の状態と希望を正確に共有し、糸・注入・外科手術それぞれの特性を理解したうえで判断することが大切です。当院では、形成外科専門医として根拠に基づいた説明を行い、患者様が納得して選択できる環境づくりを心がけています。

よくある質問

Q1. 鼻の糸リフトの注意点は何ですか?

A. 持続が限定的であること、繰り返しによる瘢痕化への懸念、感染や糸の露出といった合併症の可能性が挙げられます。また、皮膚が厚い方や鼻先が丸い方では十分な変化を感じにくい点も注意が必要です。

Q2. 鼻整形の糸は何年くらい持ちますか?

A. 使用される糸の素材により異なりますが、吸収糸の場合はおおよそ半年〜1年半程度で吸収されるとされています。見た目の変化はそれより早く感じにくくなることもあります。

Q3. 鼻尖形成で起こりうる注意点は何ですか?

A. 過度な引き締めによる不自然な形状、左右差、皮膚の血流障害などが挙げられます。形成外科的な解剖学的知識と精密な操作が求められる術式であり、医師選びが重要です。

Q4. 糸を入れた後でもプロテーゼ手術は可能ですか?

A. 可能なケースが多いものの、瘢痕化の程度によって手術の難易度が上がる可能性があります。カウンセリング時に既往歴を正確に伝え、医師の判断を仰ぐことが推奨されます。

Q5. 一番慎重に検討すべき美容手術はどれですか?

A. 一概には言えませんが、組織への侵襲が大きい施術や、修正が難しい施術ほど慎重な検討が必要です。鼻整形も顔の印象を大きく左右するため、信頼できる形成外科専門医とじっくり相談することが大切です。

参考文献

1. 日本外科学会. 外科一般・手術・術後管理に関する学術情報. https://www.jssoc.or.jp/

志藤 宏計

医師


KIMI CLINIC 形成・美容外科

院長

志藤 宏計

▶ 監修者プロフィール

経歴
2007年 新潟大学医学部医学科 卒業
2009年 慶應義塾大学 医学部形成外科学教室 入局
慶應義塾大学病院形成外科
東京都立小児総合医療センター形成外科
大阪市立総合医療センター形成外科 等勤務
Bloomfield hospital plastic surgery department
Oxford university craniofacial unit
Birmingham children‘s hospital craniofacial unit 留学
2022年 共立美容外科 京都院院長
2024年 KIMI CLINIC 形成・美容外科 開院
資格・所属学会
日本形成外科学会認定専門医
頭蓋顎顔面外科学会認定専門医
日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
マイクロサージャリー学会会員
オンコプラスティックサージャリー学会会員
日本口蓋裂学会会員

一覧に戻る

ページトップへ